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作家プロフィール/Artist Profile

富田有紀子は祖父の影響を受けて美術をこころざしました。祖父は1920年代から活躍した洋画家・小林猶治郎(1897-1990)です。富田有紀子は女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻を卒業後、東京版画研究所で銅版画を学びました。油彩絵画もこの頃から描き始め、小林猶治郎が所属した旺玄会へ出品して、いくつかの賞も受賞しました。
現代美術のアーティストとして、富田有紀子は版画とインスタレーションによる作品から創作活動を始めました。立体作品などさまざまな素材による実験を経て、1990年代以降は、油彩による平面絵画へ集中するようになりました。富田有紀子が生み出す膨大な数の作品群は、素材や表現方法は異なっても、常に同じテーマを指し示しているようです。最初は抽象であった油彩絵画も、時間の経過とともに現実の花やつぼみなどを描くようになっていきました。
富田有紀子の作品は、物体そのものよりも、物体が持つ生命エネルギーそのものの現実を描いているように感じられます。見えない世界から見える世界へ、内側から外側へ、モチーフとなるテーマはいろいろと変化していきながら、富田有紀子の宇宙観は、花や風景を通してキャンパスに表現されていきます。